米国市場リート(REITs)のメリット

不動産投資信託(以下リート)は、投資家に定期収入、ポートフォリオの分散、そして保有ポートフォリオの資産価値へリンクを提供することを目的としています。リートの投資家は、実際に自ら物件を購入、ファイナンスすることなく、不動産投資から生じる収益持分を得ることができます。

リートとは?

不動産投資信託は、この投資手段に税法上の優遇措置を与えるため1960年に米議会で承認されました。リートが課税所得の90%を配当として分配する場合、配当は株主に直接支払われるため法人所得税は免除されます。リートには、シニアハウジングなどの不動産物件を所有する株式リート、不動産ローンを保有するモーゲージリート、またはその両方の特性を組み合わせた「ハイブリッド」リートがあります。

シニアハウジングのトップ米国リート

大手15リートの内、弊社が注目している3社は、介護付きヘルスケア施設を取り扱っています。過去数年間、特に人件費などの経営コストを削減するため、多くのリートが他のリートと統合しました。アメリカ3大ヘルスケアリートでは、ウェルタワーが時価総額260億米ドル、2016年の配当率は4.7%で、資産価値上昇を考慮した総利益率は12.3%。ベンタスは、時価総額240億米ドルの資産を保有し、配当率は4.6%、総利益率は7.7%。そしてリート3位のエイチシーピー(HCP)は、時価総額150億米ドル、配当率は4.7%、総利益率は13.4%です。今後も継続して経営コスト削減、新規建設物件と十分に競合する営業努力を組み合わせることで、これらの配当及び利益率は上昇が見込まれます。

リートの種類

上場リート(米証券取引委員会(以下SEC)登録):約200のリートが上場しており、物件評価額1兆米ドル以上、5万件を超える物件を所有しています。上場リートの90銘柄が、S&P株価指数に組み込まれています。現在、35ヶ国以上で米国リートをモデルにしたリートが設立されています。

非上場リート(SEC登録):SEC登録の非上場リートは、およそ100銘柄あります。ブラックストーンのような大手企業の多くは、証券取引所の高い上場コストを避け、数千億ドルの資金をこの方法で調達しており、必要に応じ将来上場のオプションを伴う不動産資産の投資リターンが増加します。

私募リート(SEC未登録):私募リートは数百あり、SEC未登録で証券取引所に上場しないことで、多額のコスト負担が避けられます。私募リートもまた、SECのレギュレーションDとレギュレーションSの免除規定の下、数千億ドルの資金を調達しています。この枠組みは最小経営コストを保つ一方で、リート規定の全てに適応しています。さらに、リートの資産が大きく成長することで、将来的には上場も可能です。

全体のリート市場は、数兆ドル規模を有し、何百ものリートが存在しています。大抵、リートはコスト削減をするため私的な募集として始まり、そして大きく成長すれば上場もしくはSEC登録の非上場企業となります。3つのタイプのリートストラクチャーはすべて、独立した取締役、独立監査人、そして財務報告を定期的に受け取る投資家の独立した評価で管理されます。調達金額に応じてどのストラクチャーを使うかが判断され、上場及びSEC登録リートは、大規模な公募で必要となる多額の固定費を負担する必要があります。